質問
「エントリーシートの自己PRを書こうとしても、アピールできるような「すごいエピソード」が一つもありません。サークルのリーダー経験も留学経験もなく、バイトも普通にこなしていただけです。こんな「何もない」状態から、どうやってネタを探せばいいのでしょうか?」
回答
企業が知りたいのは、物事に取り組むときの「プロセス(考え方や行動特性)」です
「優れた強み」や「特別な経験」を探そうとしていませんか?
実は、企業が求めているのは「輝かしい実績」そのものではなく、その過程でどう考え、どう行動したかという「プロセス」です。特別な経験がなくても、魅力的な自己PRは必ず作れます。
今回は、自己PRのネタが見つからないと悩む就活生向けに、「隠れた強みを見つけるネタ探しの5つの方法」を解説します。
1.まずは「当たり前」を疑ってみよう
多くの学生が陥りがちなことは、「特別なイベント」だけを探そうとすることです。「あなたが無意識に続けていること」の中にもヒントはありますので振り返ってみましょう。
方法:
- 大学生活で「毎日」「毎週」欠かさずやっていることを書き出す。
- アルバイトで「言われなくてもやっていること」を書き出す。
例えば、アルバイトなら
「接客」:常連さんの顔と注文を覚える、雨の日は入り口のマットをこまめに拭く、混雑する前にカトラリーを補充しておく。
「塾講師」:生徒が間違えやすい問題をノートにまとめておく、授業開始5分前には教室に入って生徒と雑談する。
「事務・作業」:使い終わった備品を元の場所に戻す、マニュアルの分かりにくい部分に付箋を貼って後輩に教える。
など、
些細なことだと感じても、なぜその行動をしていたのか、理由とともに示すことで、魅力的な自己PRを作成することができます。
視点の変換例:
- 「無遅刻無欠席で授業に出た」 → 「継続力」「自己管理能力」(当たり前の基準を高く保てる)
- 「バイトで備品の補充をこまめにやった」 → 「気配り」「課題発見力」(次の人が働きやすい環境を作る意識)
- 「ゼミの資料を期限より早く提出した」 → 「計画性」「責任感」(相手の時間を奪わない配慮)
たとえ単純作業でも、「こうすればもっと効率が良いのでは?」「この伝え方の方が相手に親切では?」と自分なりに考えてプラスオンした行動はありませんか?
「自ら考えて改善した経験」は、日常の些細な場面にこそあったりしますので、小さく感じることでも書き出してみましょう。
2.「モチベーショングラフ」で感情の揺れを探る
過去の出来事を時系列で振り返るだけでなく、その時の「感情の起伏」に注目する方法です。
方法:
- 横軸を時間(大学入学〜現在)、縦軸をモチベーション(高い〜低い)にしたグラフを描く。
- グラフが「下がったところから上がった瞬間」に注目する。
- 「なぜ下がったのか(困難)」と「どうやって上げたのか(工夫・行動)」を言語化する。
▼ ポイント💡
大きな挫折でなくて構いません。「バイトに行きたくなかった時期」や「レポートが書けなくて焦った時期」など、小さな谷底からどう這い上がったかを言語化することが、自己PRのエピソードになります。
3.「他己分析」で自分では気づかない長所を聞く
友人や家族、バイト先の先輩に聞いてみましょう。ただし、聞き方にコツがあります。
❌ NGな聞き方:
- 「私の長所って何?」→ 抽象的な答え(優しい、真面目など)しか返ってこないことが多いです。
⭕ OKな聞き方(エピソードを引き出す):
- 「私がいて助かったな、と思ったことはある?」
- 「私らしいな、と感じた具体的な行動はある?」
- 「チームの中で、私はどんな役割をしていることが多い?」
▼ 発見の例💡
自分では「ただ話を聞いていただけ」と思っていても、友人からは「否定せずに聞いてくれるから、本音を話しやすい(傾聴力・受容力)」と評価されるなど、自分では当たり前すぎて気づかなかった長所が見つかるはずです。
4. 「失敗談」や「苦手なこと」を逆転させる
成功体験が思いつかない方は、あえて失敗体験から考えてみてください。失敗から何を学び、どう改善したかは、社会人になってからも再現性が高いと評価されやすいポイントです。
思考フレームワーク:
- 失敗: バイトでお客様を怒らせてしまった。
- 原因分析: 確認不足と思い込みがあった。
- 改善行動: メモを取るだけでなく、復唱確認を徹底するルールを自分で作った。
- 結果(現在): ミスがゼロになり、新人教育も任されるようになった。
▼アピールポイント💡
失敗を隠さず、素直に反省し行動に移したことをエピソードとして伝えることで、次につなげる「修正能力」や「誠実さ」が伝わります。
5. 企業が求める人物像と「接点」を作る
素晴らしい強みを持っていても、それが企業の方向性とズレていては評価されにくくなってしまいます。自己PRを仕上げる際は、「企業が求めていること」と「自分の強み」が重なる部分を意識してみましょう。
企業の採用ページにある「求める人物像」を確認し、「挑戦心」や「協調性」など、重視されているキーワードと、あなたの強みに近い要素を結びつけるのがポイントです。
迷った時の「Will・Can・Must」の法則
考えを整理するのが難しい時は、「Will / Can / Must」の3軸を使って整理するのがおすすめです。
- Will(やりたいこと): あなたが仕事で実現したいこと、将来のビジョン
- Can(できること): あなたの強み、経験から発揮できる能力
- Must(求められること): 企業が求めている役割、資質、ミッション
例えば、メーカー志望の場合、「Will = ものづくりを通して人々の生活を豊かにしたい」「Can = 部活動で培った粘り強さ」「Must = チームで成果を出すための協調性」(企業が重視している点)と整理すると、「持ち前の粘り強さで課題に向き合うことでチームと協力し、貴社のものづくりに活かしたい」という自己PRの方向性を確認することができます。
このように整理することで、独りよがりにならず、かつ企業にとっても「採用するメリット」が伝わりやすい自己PRを作りましょう。
自己PRのネタが見つかったら実際に作成してみよう
下記の構成テンプレートに沿って見つかったエピソードを当てはめてみましょう。
▼ 構成テンプレート
- 結論(私の強みは〇〇です)
- 理由・背景(その強みが発揮された具体的な場面)
- 課題と行動(どんな問題があり、どう解決したか)
- 結果(その結果どうなったか)
- 貢献(入社後どう活かすか)
どうしてもエピソードが見つからない・書けない時は?
「視点を変えても、やっぱり自信のあるエピソードが出てこない」「ネタはあるけどうまく文章にできない」と悩むなら、過去の経験を棚卸しし、「自己分析」からさらに細かく取り組んでみてください。
自分一人で自分の人生を客観視するのは、実はとても難しいことです。マイナビ新卒紹介では、自己PRの「エピソードの発掘」や「言語化のサポート」を完全無料でお手伝いしていますので、よろしければお気軽にオンライン面談をご活用ください。