質問
「エントリーシートに「困難を乗り越えた経験を教えてください」という設問があるのですが、正直これといった大きな困難が思いつきません。どんなエピソードを選べばいいのか、またどういう順番で書けば伝わるのか、書き方のコツが知りたいです。」
回答
「困難を乗り越えた経験」は、困難の大きさよりも “乗り越えるプロセスと学び” を具体的に書くことが大切
「課題をどう捉え、どんな行動を取り、何を学んだか」という思考→行動→成長のストーリーを通じて、あなたの人柄と課題解決力を知りたいのです。
そのためエピソード選びでは、”結果のインパクト” よりも “自分が主体的に動いた経験” を選ぶことがポイントになります。
本記事では、エピソードの探し方から構成テンプレート・例文10選・面接官の評価視点まで、順を追って解説していきます。
✅この記事で分かること(目次)
1.企業が「困難を乗り越えた経験」を聞く理由
2.「困難が思いつかない…」エピソード発掘3ステップ
3.シーン別「困難を乗り越えた経験」例文10選と解説
↳<パターン①> アルバイト × 課題改善
↳<パターン②> サークル・部活 × チーム内の対立
↳<パターン③> ゼミ・研究 × データ収集の行き詰まり
↳<パターン④> 留学・異文化体験 × 言語の壁
↳<パターン⑤> 個人の挑戦 × 資格試験の挫折
↳<パターン⑥> 部活 × 怪我・スランプからの復帰
↳<パターン⑦> ボランティア・地域活動 × 参加者集めの苦労
↳<パターン⑧> インターンシップ × 初めての業務での失敗
↳<パターン⑨> 家庭・個人事情 × 経済的な困難との両立
↳<パターン⑩> 授業・課外活動 × 初めてリーダーを務めた経験
4.面接官が見ている「困難を乗り越えた経験」の3つの評価ポイント
5.そのまま使える!「困難を乗り越えた経験」の400字テンプレートとNG例
6.まとめ
1.企業が「困難を乗り越えた経験」を聞く理由
見られているのは “困難の大きさ” ではない
ESで「困難を乗り越えた経験」を聞く企業は非常に多いですが、目的は “すごいエピソード集め” ではありません。採用担当が知りたいのは、次の3つです。
- 課題発見力 ─ 何を「困難」と認識し、なぜ向き合おうとしたのか
- 行動力・思考力 ─ どんな工夫や努力で乗り越えたのか
- 成長・学び ─ その経験から何を得て、今後どう活かせるのか
エピソードの “派手さ” よりも、“あなたらしさ” が伝わるプロセス描写が評価を左右します。
ガクチカ・自己PRとの違いを整理しよう
「困難を乗り越えた経験」は、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)や自己PRと混同されがちです。下の表で違いを確認しておきましょう。
| 設問 | 焦点を当てるポイント | 求められる要素 |
|---|---|---|
| 困難を乗り越えた経験 | 逆境・壁に直面した場面と、それをどう乗り越えたか | 課題解決力・ストレス耐性・成長 |
| ガクチカ | 最も力を入れた活動全体の成果とプロセス | 主体性・成果へのコミット・再現性 |
| 自己PR | 自分の「強み」とそれを裏付けるエピソード | 強みの言語化・企業への貢献イメージ |
💡 ポイント:
同じエピソード(例:サークル運営)でも、設問によって切り口が変わります。「困難を乗り越えた経験」では、うまくいかなかった状況→打開策→変化、という “谷→山” の構造を意識しましょう。
2.「困難が思いつかない…」エピソード発掘3ステップ
多くの就活生が「自分には大した困難がない」と悩みますが、心配はいりません。次の3ステップで自分のエピソードを掘り起こしてみましょう。
| ステップ | やること | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 時系列で洗い出す | 大学1年〜現在まで、半年ごとに「大変だったこと」を箇条書きにする | 「2年前期:ゼミの研究テーマが決まらず焦った」 |
| ② 感情で拾う | 「悔しかった」「逃げたかった」「泣いた」などネガティブな感情を手がかりにする | 「アルバイト先で初めてクレーム対応し、落ち込んだ」 |
| ③ 変化に注目する | 洗い出した中から「その前後で自分の行動や考え方が変わった」ものに◎をつける | 「クレーム後に接客マニュアルを自作→店長に褒められた」 |
✅ 日常の小さな困難でも十分です。大切なのは 「自分が主体的に動いて変化を起こした」という事実があるかどうかで考えてみましょう。
エピソードを選ぶときのチェックリスト
選んだエピソードに、以下の要素があるか確認してみましょう。
- 自分が主体的に動いた経験か(他人に任せっきりではないか)
- 原因を自分なりに分析した場面があるか
- 「やめたかった」「諦めかけた」という局面があるか
- 行動の前後で、何かが変化した(結果・自分の考え方など)か
目安としては、4つ中3つ以上当てはまれば、良いエピソードになる素材であると考えてよいでしょう。
3.シーン別「困難を乗り越えた経験」例文10選と解説
ここからは、「困難を乗り越えた経験」の10個のエピソードパターンを紹介します。各例文は一般的な400字前後を想定しています。
<パターン①> アルバイト × 課題改善
アルバイトでの困難は身近なエピソードとして取り上げやすいです。採用担当は「与えられた業務の中でも自ら課題を見つけ改善できる人か」を見ています。
💡 ポイント
- 単なる「大変だった」で終わらせず、自分が起こしたアクションを具体的に書く
- 数字(売上・顧客数・期間など)を入れると説得力が増す
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、カフェのアルバイトでリピーター率の低下という課題に取り組んだことです。入店半年後、月間リピーター率が約20%から12%に下がり、店長から改善を求められました。私は常連のお客様5名にヒアリングを行い、「新メニューの説明が少なく頼みにくい」という声が多いことを発見しました。そこで手書きのメニュー紹介カードを作成し、スタッフ全員で週替わりのおすすめコメントを添える仕組みを提案しました。最初は協力が得られず苦労しましたが、試しに1週間だけと期限を決めて実施したところ、お客様から好評の声が上がり、スタッフも自発的に参加してくれるようになりました。結果、3か月後にはリピーター率が18%まで回復しました。この経験から、課題の原因を当事者に直接聞く大切さと、小さく始めて実績を見せることで周囲を巻き込めることを学びました。
▼ 例文の解説:
課題を数字で示し、①原因分析(ヒアリング)→②施策→③巻き込みの流れが明確です。「小さく始めて周囲を巻き込む」という学びはビジネスにも直結し、再現性を感じさせます。
<パターン②> サークル・部活 × チーム内の対立
チーム活動での困難は「対人関係の調整力」や「リーダーシップ」を見るのに最適な題材として、面接官が注目しやすいエピソードです。
💡 ポイント
- 対立の原因を客観的に書く(一方的に相手が悪い、という書き方はNG)
- 自分がどんな役割で、何を働きかけたかを明確にする
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、テニスサークルの大会運営で、メンバー間の意見対立をまとめたことです。大会の企画段階で「競技重視」と「交流重視」の2つの意見に分かれ、ミーティングが3回連続で結論を出せない状況になりました。私は副代表として、まず双方の意見を一人ずつ個別に聞き、対立の根本が「サークルの方向性への不安」だと気づきました。そこで、競技パートと交流パートを時間帯で分ける折衷案を作成し、両派のキーパーソンに事前に相談したうえで全体に提案しました。結果、全員が納得する形で大会を開催でき、参加者アンケートでは満足度が前年比15ポイント向上しました。この経験から、対立を解消するには「全体会議の前に個別の声を拾うこと」が重要だと学び、相手の立場を理解したうえで提案する姿勢が身につきました。
▼ 例文の解説:
対立構造を「競技 vs 交流」と分かりやすく示し、個別ヒアリング→折衷案→根回し→提案という段階的な行動プロセスが丁寧に描かれています。結果を数字で裏付けている点も好印象です。
<パターン③> ゼミ・研究 × データ収集の行き詰まり
学業系のエピソードは「知的な粘り強さ」や「論理的思考力」をアピールしやすく、特に研究職・コンサル・総合職志望の学生に効果的です。
💡 ポイント
- 専門的すぎる内容は避け、誰が読んでも理解できる言葉で書く
- 「なぜ諦めなかったのか」という内面にも触れると人柄が伝わる
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、ゼミの卒業研究でデータ収集が行き詰まったことです。消費者の購買行動をテーマに調査を進めていましたが、アンケートの回収率が想定の30%にとどまり、分析に必要なサンプル数を大幅に下回りました。一時は別テーマへの変更も考えましたが、半年間積み上げた文献調査を無駄にしたくないという思いから、方法の見直しを決意しました。具体的には、設問数を25問から12問に絞って回答負荷を下げ、さらに協力者に結果サマリーを共有する特典を設けました。加えて、他ゼミの友人にも協力を依頼しチャネルを広げた結果、2週間で目標サンプル数を達成しました。教授からも「改善の着眼点が良い」と評価をいただきました。この経験から、壁にぶつかったときこそ “量を増やす” ではなく “方法を変える” 発想の大切さを学びました。
▼ 例文の解説:
「テーマを変えたい」という葛藤→「方法を変える」という判断が、課題解決力と粘り強さの両方を示しています。改善策が3つと具体的で、再現性の高い努力として伝わります。
<パターン④> 留学・異文化体験 × 言語の壁
留学経験は「適応力」「主体性」をアピールしやすいエピソードです。採用担当者は、異文化環境でどう動いたかという行動パターンを見ています。
💡 ポイント
- 「留学した」という事実ではなく、具体的に何が困難で、何を工夫したかにフォーカスする
- 語学力の向上だけで終わらず、マインドや行動の変化まで書く
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、半年間の交換留学中にグループワークで全く発言できなかったことです。授業の半分がディスカッション形式でしたが、英語のスピードについていけず、最初の1か月は一言も発言できない日が続きました。悔しさから、まず毎日授業の録音を聞き直してキーフレーズを書き出す習慣を始めました。さらに、グループメンバーに「事前にテーマを教えてほしい」とお願いし、自分の意見を紙にまとめてから臨むようにしました。2か月目からは短いコメントから発言を始め、学期末のプレゼンではチームの発表パートを任されるまでになりました。この経験から、苦手なことに向き合うとき「準備で自信をつくる」ことの効果を実感し、行動を小さく分解して一歩ずつ進む姿勢が身につきました。
▼ 例文の解説:
「一言も発言できない」という具体的な困難描写がリアリティを生んでいます。改善行動が①録音の復習→②事前準備の依頼→③短いコメントから参加、と段階を踏んでいる点が「再現性のある努力」として高評価につながります。
<パターン⑤> 個人の挑戦 × 資格試験の挫折
個人で取り組んだ困難は「セルフマネジメント力」「目標への粘り強さ」を測る材料になります。チーム経験が少ない方にもおすすめのパターンです。
💡 ポイント
- 「不合格→合格」だけでは浅い。なぜ落ちたかの分析→改善策のプロセスを厚く書く
- 学びを「仕事にどう活かせるか」まで繋げると説得力が増す
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、簿記2級の試験に2度不合格になったことです。大学2年の春に独学で受験しましたが、工業簿記の理解が浅く不合格でした。悔しさから勉強量を増やして再挑戦しましたが、2度目も合格点に届きませんでした。そこで「量の問題ではなく方法の問題だ」と考え直し、過去5回分の不正解を分析して苦手パターンを3つに分類しました。さらに合格した先輩に勉強法を聞き、「なぜその仕訳になるのか」を言語化するノートを作成しました。3度目の受験では苦手分野を重点的に対策し、合格することができました。この経験から、成果が出ないときは努力の「方向」を見直す重要性を学びました。仕事でもやみくもに動くのではなく、原因を分析してから改善策を打つ姿勢を大切にしたいと考えています。
▼ 例文の解説:
2度の失敗をあえて正直に書くことで、3度目の合格プロセスに厚みが出ています。「量ではなく方法の問題」という気づきがターニングポイントとして際立ち、思考力の深さを印象づけます。
<パターン⑥> 部活 × 怪我・スランプからの復帰
スポーツ系の困難は「逆境への耐性」と「目標への執着心」を示しやすいエピソードです。怪我やスランプはイメージがつきやすく、共感を得やすい題材でもあります。
💡 ポイント
- 「怪我をした」という事実だけでなく、その期間に何を考え、何をしたかを丁寧に書く
- 復帰後の行動変化や成長を具体的に示すと、前向きな人柄が伝わる
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、大学2年の秋に膝の怪我で3か月間練習を離脱したことです。バスケットボール部でスターターを目指して練習を重ねていた時期だったため、離脱が決まったときは強い焦りと悔しさを感じました。しかし、ただ回復を待つだけでは同期に差をつけられると考え、練習に参加できない期間を「チームの課題を外から観察する時間」と捉え直しました。毎回の練習を動画で記録し、チームの守備の弱点を分析してコーチに提案書を作成しました。また、体幹トレーニングと食事管理を徹底し、復帰時には怪我前より体のバランスが改善されていました。復帰後はスターターに定着し、チームも地区大会でベスト8に進出しました。この経験から、思い通りにならない状況でも「今できることに集中する」姿勢が、長期的な成長につながることを学びました。
▼ 例文の解説:
離脱期間を「観察・分析の時間」と捉え直した発想の転換が光ります。チームへの貢献(提案書)と個人の成長(体幹強化)を両立させている点が、主体性と視野の広さを同時にアピールしています。
<パターン⑦> ボランティア・地域活動 × 参加者集めの苦労
ボランティアや地域活動のエピソードは「社会への関心」「利他的な行動力」をアピールできます。特にCSRや社会貢献に力を入れる企業への志望動機とも連動しやすい題材です。
💡 ポイント
- 活動の「目的・背景」を簡潔に説明し、読み手が状況をイメージできるようにする
- 困難の原因を分析し、試行錯誤のプロセスを丁寧に書くと評価が上がる
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、地域の子ども向け学習支援ボランティアで、参加者が集まらないという課題に取り組んだことです。活動開始当初、毎回の参加者は定員10名に対して2〜3名にとどまり、このままでは活動継続が難しい状況でした。原因を探るため、地域の保護者5名にアンケートを実施したところ、「活動内容が分かりにくい」「送迎の負担が大きい」という声が多く寄せられました。そこで、チラシのデザインを刷新して具体的な活動内容を写真付きで紹介し、さらに近隣の小学校に掲示許可を取って配布しました。また、送迎の負担を減らすため、活動時間を保護者の帰宅時間に合わせて変更しました。2か月後には参加者が安定して8名を超えるようになり、リピート率も70%を達成しました。この経験から、課題解決には「当事者の声を直接聞くこと」が最も近道だと学びました。
▼ 例文の解説:
アンケートによる原因分析→チラシ改善・時間変更という2軸の施策が明確です。数字(定員比・リピート率)で成果を示している点と、学びが「当事者の声を聞く」という汎用的な教訓になっている点が高評価につながります。
<パターン⑧> インターンシップ × 初めての業務での失敗
インターン経験は「社会人としての素養」や「フィードバックを活かす力」を示せるエピソードです。失敗を正直に書いたうえで、そこからの立て直しを丁寧に描くことが重要です。
💡 ポイント
- 失敗の内容を具体的に書く(曖昧にすると「反省が浅い」と見られる)
- 失敗後に自分から動いたことを強調し、受け身にならないよう注意する
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、3週間のマーケティング系インターンシップで、初めて担当した資料作成を大幅に修正させてしまったことです。市場調査のレポートを任されましたが、「見やすければ良い」と思い込み、データの羅列だけで提案が何もない資料を提出してしまいました。社員の方から「数字の意味と次のアクションが見えない」と指摘を受け、自分の認識の甘さを痛感しました。翌日、他のインターン生の資料や過去の社内レポートを10本以上読み込み、「課題→根拠→提案」の構成が基本であることを理解しました。その後、構成を全面的に作り直し、競合3社との比較分析と施策案を加えた資料を再提出したところ、「視点が変わった」と評価していただきました。この経験から、アウトプットの前に「相手が何を求めているか」を確認する習慣の大切さを学びました。
▼ 例文の解説:
失敗の原因(思い込み)を自己分析できている点が誠実さを示しています。「10本以上読み込む」という具体的な行動量と、再提出後の評価変化が、素直さと成長速度の高さを印象づけています。
<パターン⑨> 家庭・個人事情 × 経済的な困難との両立
家庭の事情や経済的な困難は、書き方次第で「責任感」「自立心」「計画性」を強くアピールできるエピソードです。プライベートな内容ではありますが、就活への影響や自分の行動に焦点を当てれば、説得力のある話になります。
💡 ポイント
- 家庭の事情そのものを詳しく書く必要はない。自分がどう判断し、どう行動したかに焦点を絞る
- 「大変だった」で終わらず、その経験で得た具体的なスキルや価値観を言語化する
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、大学2年から学費と生活費の大半を自分で賄いながら就活準備を進めたことです。家庭の事情から経済的な支援が難しくなり、週5日・1日6時間のアルバイトをしながら授業・ゼミ・就活を並行させる必要がありました。最初の2か月は睡眠時間が4時間を切る日が続き、ゼミの課題提出が遅れるなど、両立の難しさを痛感しました。そこで、1週間単位でタスクを優先度別に整理するスケジュール管理を導入し、アルバイトのシフトを「授業の空きコマ」に集中させることで、まとまった自習時間を確保しました。結果、ゼミの成績をGPA3.5以上に維持しながら、インターンシップにも2社参加することができました。この経験から、限られたリソースの中で最大の成果を出すには「優先順位の明確化」が不可欠だと学びました。
▼ 例文の解説:
困難の背景を簡潔に触れつつ、主軸は「自分の行動と工夫」に置いています。GPA・インターン参加という具体的な成果が、「言葉だけでなく結果を出せる人」という印象を与えます。タイムマネジメント力は入社後にも直結するスキルとして評価されやすいです。
<パターン⑩> 授業・課外活動 × 初めてリーダーを務めた経験
初めてリーダーを務めた経験は「成長の過程」を描きやすく、「リーダーシップの原体験」として面接官の印象に残りやすいエピソードです。完璧なリーダー像でなくても、試行錯誤した過程こそが評価されます。
💡 ポイント
- 「リーダーになった経緯」を一言添えると、文脈が伝わりやすくなる
- うまくいかなかった場面を正直に書き、そこからの学びと変化を丁寧に描く
【例文】
私が困難を乗り越えた経験は、授業のグループワークでリーダーを初めて務め、チームが機能しない状況を立て直したことです。5人チームで新規事業の企画を行う授業でしたが、私がリーダーに立候補したものの、最初の2週間はメンバーの意見がまとまらず、毎回の話し合いが空転していました。原因を振り返ると、私が「全員の意見を聞けばまとまる」と思い込み、議論の方向性を示せていなかったことに気づきました。そこで方針を変え、事前に論点を3つに絞った議題メモを作成し、各メンバーに担当領域を割り振ることで役割を明確にしました。また、発言が少ないメンバーには個別に意見を聞く時間を設けました。その結果、話し合いが毎回60分以内に終わるようになり、最終発表では教授から「論理構成が最も明確だった」と評価をいただきました。この経験から、リーダーの役割は「意見を集めること」ではなく「議論の方向を示すこと」だと学びました。
▼ 例文の解説:
「全員の意見を聞けばまとまる」という思い込みへの気づきが、自己分析の深さを示しています。議題メモの作成・役割分担・個別ヒアリングという3つの具体的な改善策が、行動力と柔軟性を同時にアピールしています。リーダーシップの「定義の更新」という学びも、面接での深掘りに答えやすい内容です。
4.面接官が見ている「困難を乗り越えた経験」の3つの評価ポイント
エントリーシートを書き終えたら、以下の3つの視点でセルフチェックしてみましょう。面接での深掘りにも備えられます。
評価ポイント① 困難の “自分ごと度”
| 視点 | 対策 |
|---|---|
| 「その困難に、本人が本気で向き合っていたか?」を見ている。他人事のような文章は評価が下がる | エピソード内に自分の感情(悔しい・焦った・諦めかけた等)を1か所以上入れる。当事者意識が伝わる |
💡 面接では「なぜそこまで頑張れたのですか?」と深掘りされることが多い設問です。動機(なぜ逃げなかったのか)を自分の言葉で語れるよう準備しておきましょう。
評価ポイント② 行動の “具体性と主体性”
| 視点 | 対策 |
|---|---|
| 「頑張りました」だけでは何をしたか伝わらない。誰が読んでも映像が浮かぶレベルの具体性を求めている | 行動を書くときは 「何を・どのように・どれくらい」 の3点セットで記述する(例:「毎日30分、過去問を3年分解き直した」) |
💡 「チームで取り組みました」ではなく、「チームの中で自分は〇〇の役割を担い、具体的に△△をしました」 と書くことで主体性が伝わります。
評価ポイント③ 学びの “再現性”
| 視点 | 対策 |
|---|---|
| 「この人は入社後も同じように困難を乗り越えられるか?」を見ている。学びが特定の場面にしか使えない内容では評価されにくい | 学びを書くときは 「〇〇という場面に限らず、仕事でも△△のように活かせる」 と汎用化する |
💡 セルフチェック:書いた学びを読み返して、「これは社会人1年目でも使えそうか?」 と自問してみてください。
5.そのまま使える!「困難を乗り越えた経験」の400字テンプレートとNG例
■ 穴埋めテンプレート(STAR法ベース)
以下は STAR法(Situation → Task → Action → Result)をベースに、「困難を乗り越えた経験」に最適化したテンプレートです。各ブロックの文字数目安も示していますので、400字に収める際の配分の参考にしてください。
【結論(約40字)】
私が困難を乗り越えた経験は、___(場面)で
___(困難の概要)に取り組んだことです。
【状況+課題(約80字)】
___(いつ・どこで・どんな状況だったか)。
その結果、___(具体的な問題・困難の内容)
という課題に直面しました。
【行動(約120〜150字)※ここを最も厚く書く】
そこで私は、まず___(行動①:原因分析や情報収集)を行いました。
次に、___(行動②:具体的な施策・工夫)に取り組みました。
___(行動③:周囲への働きかけや追加の工夫)も並行して行いました。
【結果(約60字)】
その結果、___(成果を数字や事実で示す)を
達成することができました。
【学び(約60〜80字)】
この経験から、___(困難を通じて得た学び・成長)を学びました。
今後は___(仕事にどう活かすか)に活かしていきたいと考えています。
💡 配分の目安:行動パートが全体の 35〜40% を占めるのが理想です。文字数が足りない場合は「行動」を厚く。オーバーする場合は「状況」を削るのが効果的です。
注意点:やってしまいがちなNG例
| NG例 | なぜダメか | 改善の方向 |
|---|---|---|
| NG①「困難でしたが頑張って乗り越えました」 | 行動が抽象的すぎて何をしたか伝わらない。 | 「何を・どのように・どれくらい」を具体的に書く |
| NG②「チームの○○さんが非協力的で困りました」 | 他者への批判が中心になっており、自分の行動が見えない。ネガティブな印象を与える可能性がある。 | 困難の原因は客観的に書き、焦点は自分のアクションに置く |
| NG③「幼少期に…」のような過度にプライベートな内容 | 評価しづらく、面接官も深掘りしにくい。選考の場にふさわしくない場合がある。 | ビジネス場面での再現性がある大学時代のエピソードを選ぶのがベター |
まとめ
ここまで、「困難を乗り越えた経験」の書き方について、エピソードの探し方から構成・例文・面接官の評価ポイントまで幅広く解説してきました。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
- 企業が見ているのは困難の大きさではなく “乗り越えるプロセスと学び”。日常の小さな困難でも十分にアピールできます。
- エピソード選びは「時系列の洗い出し→感情で拾う→変化に注目」の3ステップで行うと、自分だけのリアルなエピソードが見つかります。
- 構成はSTAR法(状況→課題→行動→結果→学び)をベースに、行動パートを最も厚く書くのが高評価のコツです。
- 面接官は “自分ごと度・行動の具体性・学びの再現性” の3点でチェックしています。書き終えたらこの3つでセルフチェックしましょう。
- ガクチカ・自己PRとは「切り取る角度」が違うことを意識し、同じエピソードでも困難→克服の “谷→山” 構造を前面に出しましょう。
エントリーシートの設問を前に手が止まってしまう気持ち、とてもよく分かります。でも、この記事を最後まで読んでくださったあなたは、もう「何を書けばいいか分からない」状態からは卒業しているはずです。
完璧を目指さなくて大丈夫。まずはテンプレートに沿って一度書いてみて、少しずつ磨いていきましょう。
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