質問
「BtoB企業の選考を受けたいのですが、志望動機がうまく書けません。普段使っている商品ではないので、具体的なエピソードが思いつかないです。『なぜBtoBなのか』をどう伝えれば良いのでしょうか?」
回答
『顧客(企業)』とその先の『社会』への影響力に着目しよう
BtoBの志望動機で大切なのは、「その企業が支えている『顧客(企業)』とその先の『社会』への影響力」に着目することです。
BtoCのように、普段馴染みのある製品ではないですが、むしろ個人的な「好き嫌い」に左右されない分、「ビジネスの仕組み(どうやって事業を展開しているか)」に注目できるのがBtoB企業の選考の特徴です。
単なる「縁の下の力持ち」で終わらせず、「貴社のビジネスを通じて、どのような課題を解決し、社会をどう動かしたいか」という視点を持つことで、採用担当者に響きやすい志望動機になります。
✅この記事で分かること(目次)
- BtoBとBtoCにおける「志望動機のアピールポイント」の違い
- 【業界別】代表的なBtoB業界の紹介と志望動機の切り口
- BtoB企業の採用担当者が志望動機でチェックする「3つの適性」
- 【そのまま使える】BtoBの志望動機:構成テンプレートとNG例
1.BtoBとBtoCにおける「志望動機のアピールポイント」の違い
志望動機を書く前に、まずは「BtoB」というビジネスモデルの基本を押さえておきましょう。
そもそも「BtoB」とは?
BtoBとは「Business to Business」の略で、企業(法人)に対してモノやサービスを提供するビジネスのことです。 例えば、自動車メーカーに部品を卸す素材メーカーや、企業の業務システムを作るIT企業などがこれに当たります。
対して、私たちが普段コンビニやスーパーで商品を買うようなビジネスは「BtoC(Business to Consumer=対個人)」と呼ばれます。
BtoB企業はテレビCMなどをあまり行わないため、一般の知名度は低い傾向にありますが、市場規模はBtoCよりも大きくなる場合があるのが特徴です。
BtoBとBtoCの「アピールポイント」の違いとは?
BtoB(対企業)とBtoC(対個人)では、「お客様」が異なります。そのため、志望動機でアピールすべきポイントも変わるため、BtoC企業との視点の違いを整理しましょう。
ここを混同したまま書くと、ピントのずれた志望動機になってしまうことがあります。
▼ 比較表:BtoBとBtoCの違い
| 項目 | BtoB企業(対法人) | BtoC企業(対個人) |
|---|---|---|
| 顧客 | 企業(法人) | 一般消費者(個人) |
| 商材の特徴 | 高単価、長期的、機能重視 | 低〜高単価、短期的、感性重視も含む |
| 購買決定 | 合理的判断、複数人の承認が必要 | 個人の好み、感情、衝動も含まれる |
| 仕事の進め方 | 信頼関係構築、論理的な提案力 | トレンド把握、共感力、マーケティングセンス |
| 志望動機の核 | 「事業への貢献」「顧客の課題解決」 | 「ブランド愛」「自身の体験・感動」 |
💡ここがポイント!
BtoCでは「その商品が好き」「ファンである」という感情的な動機もきっかけにはなりますが、BtoBでは「そのビジネスがいかに社会やクライアント企業の利益に貢献しているか」という論理的な理解と共感も重要な志望動機のポイントになります。
2. 【業界別】代表的なBtoB業界の紹介と志望動機の切り口
1. 化学・素材メーカー
スマホの画面、車のボディ、服の繊維など、あらゆる製品の「元」となる素材を作る業界です。
✅特徴: 「上流工程」のシェアの大きさ
日本の素材メーカーは世界シェアNo.1の製品(グローバルニッチトップ)を多く持っています。完成品メーカーも、この素材がないと製品が作れません。
✅仕事の面白さ
「自分の関わった素材が、世界中のありとあらゆる製品に使われている」という圧倒的な規模感。
一つの素材が進化するだけで、最終製品の性能が劇的に変わる(例:軽くて丈夫な素材で、車の燃費が良くなる)。
💡具体的に「どんな人が向いている」?
⇒例えば、
● 地道な研究開発や改善に価値を感じる人
● 「縁の下の力持ち」として、産業全体を支えたい人 など
2. 機械・部品メーカー
工場で使うロボット、建設機械、電子部品などを作る業界です。日本のモノづくりの心臓部とも言えます。
✅特徴: 「技術力」が商品
顧客(工場や建設現場)の生産性や品質を左右します。「この機械が止まると生産ラインが止まる」という責任重大なポジションです。
✅仕事の面白さ
世界のインフラや産業発展に直結している実感があります。
技術者と協力して、顧客のニーズ(もっと速く、もっと正確に)を解決するチームプレーを大切になるため、仲間と協力して物事を取り組むことが好きな方はより充実感を感じるでしょう。
💡具体的に「どんな人が向いている」?
⇒例えば、
● モノづくりに興味がある人
● 技術者へのリスペクトを持ち、地道な根回し/粘り強い交渉ができる人 など
3. 専門商社(特定の分野のスペシャリスト)
鉄鋼、食品、医療機器など、特定の分野に特化して商材を仕入れ、企業に販売する業界です。
✅特徴: 「情報」と「調整力」
単にモノを右から左へ流すだけでなく、「この素材はあそこのメーカーが安い」「今は在庫を確保すべき」といった情報提供や物流機能が価値になります。
✅仕事の面白さ
メーカーと顧客の間に入り、ビジネス全体をコーディネートするプロデューサー的な役割。
若いうちから大きな金額を動かせるダイナミックさもあります。
💡具体的に「どんな人が向いている」?
⇒例えば、
● 人とのコミュニケーションや交渉が得意な人
● フットワークが軽く、変化を楽しめる人 など
4. IT・SIer
企業の業務システム(人事システム、在庫管理、金融システムなど)を開発・運用する業界です。
✅特徴: 「無形」の解決策
顧客の課題(業務効率化、DXなど)に対し、システムという形のない解決策を提供します。顧客の業務内容を深く理解する必要があります。
✅仕事の面白さ
ITの力で、アナログで非効率だった業務を一気に改革できるインパクトがあります。
顧客と膝を突き合わせて課題を解決するコンサルティング要素が強いです。
💡具体的に「どんな人が向いている」?
⇒例えば、
● 論理的思考力があり、課題解決が好きな人
● 新しい技術やトレンドを学ぶ意欲がある人 など
5. 物流・海運
原材料や製品を、船、飛行機、トラックなどで運ぶ業界です。特にBtoBでは、コンテナ船や倉庫運営などが該当します。
✅特徴: 「止めない」使命感
世界中のサプライチェーン(供給網)を支えています。どんな状況でも物を届けるという、社会インフラとしての責任が非常に大きな仕事です。
✅仕事の面白さ
世界地図を広げて仕事をするようなグローバルなスケール感があります。
トラブルが起きた際に、どうルート変更して届けるかというパズルを解くような感覚で物事を考えるので「調整」が好きな方には面白さを感じることでしょう。
💡具体的に「どんな人が向いている」?
⇒例えば、
● 責任感が強く、冷静な判断ができる人
● グローバルな環境で働きたい人 など
▼【業界別】BtoB企業の「役割」と「志望動機」対照表
| 業界カテゴリー | ① その業界ならではの「役割」の言語化(=なぜこの業界か) | ② その役割を踏まえた「志望動機」の例文(=この会社で何をしたいか) |
|---|---|---|
| 1. 化学・素材 (メーカー) | 「産業の川上から、最終製品の『可能性』を決定づける」 全ての製品の原点であり、素材の進化により技術革新(軽量化、省エネなど)が進む。 | 「貴社の高機能素材は、自動車から医療機器まであらゆる産業の進化を『川上』から支えています。私はこの『見えない技術革新』を広めることで、最終製品の価値を底上げし、豊かな社会作りに貢献したいです。」 |
| 2. 機械・部品 (メーカー) | 「モノづくりの『心臓部』として、世界の生産現場を支える」 工場や建設現場など、産業が動くための動力を提供し、生産性や品質を守る。 | 「貴社の製品は、世界の製造現場において『心臓部』として稼働し続けています。私はその技術力と信頼性を背負い、顧客工場の生産性向上という課題にパートナーとして向き合いたいです。」 |
| 3. 専門商社 | 「必要なモノ・情報を最適に繋ぎ、ビジネスを『プロデュース』する」 メーカーと顧客の間に立ち、物流・金融・情報の機能を付加して、商流をクリエイトする。 | 「単にモノを右から左へ流すのではなく、メーカーと顧客の間に立ち、最適な商流を『プロデュース』できる点に惹かれました。貴社の持つ情報力と調整力を駆使し、顧客のビジネスチャンスを最大化する『事業の参謀』を目指します。」 |
| 4. IT・SIer (情報通信) | 「デジタルの仕組みで、企業の『非効率』を『競争力』に変える」 アナログな業務や複雑な課題をシステムで解決し、企業の経営体質そのものを強くする。 | 「企業の抱える複雑な業務課題を、システムの力で『競争力』へと変革できる点に魅力を感じています。顧客の業務プロセスに深く入り込み、『仕組み』から経営を支えるコンサルティング営業として活躍したいです。」 |
| 5. 物流・海運 (インフラ) | 「経済の『血管』として、世界中のサプライチェーンを維持する」 どんな環境下でもモノを届けることで、世界経済や人々の生活の当たり前を守り抜く。 | 「世界情勢が変化する中でも、物流という経済の『血管』を決して止めない、その社会的責任の重さに強く惹かれました。貴社のグローバルなネットワークを活かし、世界中のサプライチェーンを支えたいです。」 |
| 6. 建設・プラント (インフラ) | 「地図に残る仕事を通じ、社会の『土台』を物理的に構築する」 何もない場所に巨大な施設や道路を作り、数十年、数百年先の社会活動のベースを作る役割。 | 「人々の生活を支えるインフラを、ゼロから物理的に作り上げる『スケールの大きさ』に感銘を受けました。貴社の技術力で地図に残る仕事を手掛け、数十年先の社会の『土台』をこの手で築きたいと考えています。」 |
💡 この表の使い方(ブラッシュアップのコツ)
この表の例文は「核」となる部分です。これをもとに、以下の要素を肉付けすると、あなただけの志望動機が完成していきます。
- 「なぜ」のきっかけを入れる:「部活動で裏方としてチームを支えた経験から、産業の根幹を支える素材メーカーに興味を持ちました」
- その企業「独自の強み」を入れる:「中でも貴社は、〇〇分野で世界シェアNo.1を誇り……」
- 自分の「強み」をどう活かすか入れる:「私の強みである『粘り強い調整力』は、多くの関係者を巻き込む商社の仕事でこそ活きると確信しています」
3. BtoB企業の採用担当者が志望動機でチェックする「3つの適性」
BtoB企業の採用担当者は、志望動機を通じて「この学生は、当社のビジネスの難しさと面白さを理解しているか?」を見ている可能性が高いです。以下の3つの視点を盛り込むと、ぐっと深みが増します。
①「感情」ではなく「論理」で動けるか
BtoBの顧客(企業)がサービスや製品を買う理由は、BtoCのように「好きだから」といった「感情」ではなく「利益が出るから(またはコストが下がるから)」の側面が大きいです。
そのため、仕事では「なんとなく良さそう」という感覚ではなく、「なぜそれが必要か」を論理的に説明する力が求められます。
💡アピールポイント:
「感情に流されず、冷静に状況判断ができること」
「相手の課題を分析し、解決策を筋道立てて提案できること」
②「短期的な成果」より「長期的な信頼関係」を築けるか
BtoBのビジネスは、一度契約して終わりではありません。機械のメンテナンスや、システムの運用など、顧客との付き合いは数年〜数十年続くこともあります。
一発逆転のホームランよりも、「約束を毎回守り続ける」という地道な誠実さもアピールポイントになります。
💡アピールポイント:
「派手なことよりも、当たり前のことを継続できる忍耐力」
「一度築いた関係性を、時間をかけて深めていける力」
③「個人のプレー」より「組織間の調整力」があるか
BtoBの商品は複雑なため、営業一人では売れません。社内の技術者、工場の製造部門、法務部など、多くの専門家と協力する必要があります。 自分が前に出るだけでなく、「異なる立場の人たちを繋ぎ、チームとしてゴールを目指す力」も高く評価されます。
💡アピールポイント:
「チームの意見が割れた時に、調整役として合意形成を図った経験」
「自分が主役でなくても、チーム全体の成果に喜びを感じられる価値観」
4. 【そのまま使える】BtoBの志望動機:構成テンプレートとNG例
最後に、ここまで整理した「業界の役割」と「求められる適性」を組み合わせた、実践的な志望動機の型を紹介します。
以下の構成案(PREP法ベース)を参考に、自分の言葉を当てはめてみましょう。
✅ BtoB志望動機:そのまま使える構成テンプレート
- 【Point:結論】「私は貴社の事業を通じて、〇〇(業界の役割)を実現し、社会の発展に貢献したいです。」
- 【Reason:なぜこの業界/会社か】「〇〇業界は、見えない場所から人々の生活を支える『心臓部』です。中でも貴社は……という強みを持ち、顧客の課題解決に徹底して向き合う姿勢に惹かれました。」※第2章の表の内容を活用
- 【Example:なぜ私なのか(適性の証明)】「私は学生時代、〇〇の経験を通じて、『異なる立場の意見を調整し、チームで成果を出すこと』にやりがいを感じてきました。この強みは、多くの関係者を巻き込む貴社の仕事でこそ活かせると考えています。」※第3章の適性を活用
- 【Point:結び】「入社後は、〇〇という目標に向かって、泥臭く信頼関係を構築できるプロフェッショナルを目指します。」
⚠️ よくある失敗しやすい例と改善ポイント
BtoC(消費者向け)の感覚で書くと失敗しやすいポイントです。
❌ 失敗しやすい例 1:「多くの人の笑顔が見たい」
「御社の製品を通じて、世界中の人々を笑顔にしたいです。」
⭕️ 改善案
「人々の笑顔を支える『当たり前の日常』を、インフラという側面から守り抜きたいです。」
💡ポイント:
「笑顔が見たいなら、BtoCの接客業やテーマパーク、食品メーカーの方が向いているよ」と、単純なミスマッチを指摘されてしまうかもしれません。
❌ 失敗しやすい例 2:「製品のファンです」
「昔から御社の部品が使われている製品が好きで、御社に憧れていました。」
⭕️ 改善案
「貴社の製品が持つ『高い技術力』と『信頼性』に惹かれました。その価値を、私の強みである提案力でさらに多くの企業へ広めていきたいです。」
💡ポイント:
企業が求めているのは「ファン」ではなく「ビジネスパートナー」です。「好き」という感情よりも、「どう貢献できるか」を語りましょう。
まとめ
BtoB企業の志望動機は、「ビジネスモデルへの深い理解」が評価されやすい傾向にあります。
▼ 今回のポイント💡
STEP 1:視点を「消費者」から「ビジネスパートナー」へ切り替える
「普段使っているか」「好きか」ではなく、その企業が「誰の課題を解決し、どうやって利益を出しているか」というビジネスモデルに注目しましょう。
STEP 2:影響力の「広さ」と「深さ」に着目する
BtoBの魅力は、一つの製品が世界中の産業やインフラを支えている「スケールの大きさ」にあります。「目の前の笑顔」だけでなく、「その先にある社会全体」を見据えていることを伝えましょう。
STEP 3:「誠実さ」と「論理性」をアピール
「当たり前を止めない責任感」や「論理的な課題解決力」が評価されやすい傾向にあります。テンプレートを活用し、地に足のついた熱意をアピールしてみましょう。
あなたの「社会を支えたい」という想いは、BtoB企業にとって非常に魅力的な資質です。自信を持って、その熱意を言葉にしてみてくださいね。



