就活において欠かせないのが自己分析です。ただし、自己分析には正解がなく、「これでいいのかな?」と不安になる気持ちもあるはず。
そこで、自己分析をより深められるSWOT(スウォット)分析を活用しましょう。
SWOT分析は、本来企業のマーケティング分析や経営戦略に使用されるものですが、就活の自己分析にも役立ちます。
また、SWOT分析を応用したクロス分析をすることで、具体的なアクションプランを考えることも可能です。
この記事では、新卒向け就職エージェントサービスを行うマイナビ新卒紹介が、就活生がつまずきやすいポイントを押さえながら、SWOT分析のやり方をいちからお伝えします。
この記事で分かること(目次)
- 自己分析に活用できるSWOT分析とは
- 自己分析に活かすSWOT分析の具体的なやり方と具体例
- クロスSWOT分析で就活戦略を立てよう!具体例を紹介
- SWOT分析でよくある失敗とうまく進めるためのコツ
- SWOT分析で自己分析を深めて内定を取ろう
自己分析に活用できるSWOT分析とは

まずは、SWOT分析とはどのようなものか、そしてなぜ就活の自己分析に役立つのかをお伝えします。
SWOT分析は「自分」と「社会」の2つの軸で分析する手法
SWOT分析は、以下の4つの要素から、現状を分析するフレームワークです。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
この4つは、「自分の内側(Strength/Weakness)」と「自分の外側(Opportunity/Threat)」、さらに「プラス要因」と「マイナス要因」という2つの軸で整理できるのが特徴です。
単に自分の中だけを見るのではなく、「社会や就活市場」という外からの視点を取り入れることで、自分をより具体的に捉えることができます。
たとえば同じ「コミュニケーションが得意」という強みでも、「オンライン面談が増えている」「インバウンド需要が回復している」といった環境の変化とセットで考えることで、どの業界・職種ならより評価されやすいかまでイメージしやすくなります。
就活にSWOT分析が有効な理由
マインドマップやモチベーショングラフは、過去の自分を深掘りするのに適したものです。「これまでどんな経験をしてきたのか」「その中でどんな価値観が育まれてきたのか」を、時間軸に沿って整理するイメージです。


対して、SWOT分析は、今の自分が置かれている状況を把握し、未来の戦略を立てるのに優れています。

過去(マインドマップ・モチベーショングラフ)→現在・未来(SWOT分析)という流れで考えると、一貫性のあるストーリーを組み立てやすくなります。
ただし、私たち「マイナビ新卒紹介」にご相談くださる就活生のみなさまのなかには、具体と抽象で行き来するのが苦手という方が少なくありません。
具体的なエピソードは思い出せても「結局、自分の強みって何なんだろう?」とまとめきれなかったり、反対に「強みっぽい言葉」は出てきても、それを裏付ける具体例が思いつかなかったり……という声をよく聞きます。
その点、SWOT分析をうまく活用すると、自分の強みをどの市場(業界・企業)で活かすべきか、弱みをどう克服していくべきかを具体的に考えやすくなります。
「自分の強みが評価されやすい業界」や「弱みが致命傷になりにくい職場環境」などを比較しながら検討できるため、なんとなくの憧れやイメージだけで志望先を選んでしまうリスクを減らすことができます。
なお、マインドマップを用いた自己分析の方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】マインドマップを使った自己分析のやり方とは?就活での活用例も紹介
自己分析に活かすSWOT分析の具体的なやり方と具体例
それでは、実際にSWOT分析を進めていきましょう。A4の紙を1枚用意し、十字に線を引いて4つのエリアに分けてみてください。
もちろん、ノートやスプレッドシートを使っても構いませんが、最初は手書きでラフに書き出したほうが、思いつきを自由にメモしやすいという方が多いです。
最初からきれいに書こうとせず、「とりあえず思いついたことを全部出す→あとでグループ分けや言い換えをする」という二段階で進めるのがコツです。
1:強み(Strength)を書き出す(内部環境・プラス要因)
まずは、あなたの「強み」や長所、得意なことを書き出します。
「他の人より少しだけうまくできること」「時間を忘れて没頭してしまうこと」「周りから『それはあなたの良さだね』と言われたこと」も、強みのヒントになります。
これは、あなた自身の努力や意識でコントロールできる内部環境であり、就活においてプラスに働く要素です。
これまでの経験から得たスキルや、培ってきた性格、友人やアルバイト先の先輩から褒められたことなどをできるだけ具体的にリストアップしていきましょう。
それぞれの強みに対して「いつ・どこで・誰と・何をしていたときに発揮されたか」も簡単にメモしておくと、後からガクチカや自己PRのエピソードに転用しやすくなります。
(例:目標達成意欲が高い、計画性がある、TOEIC800点、粘り強い、人の話を丁寧に聞ける)
2:弱み(Weakness)を書き出す(内部環境・マイナス要因)
次に、あなたの弱みや短所、苦手だと感じていることを正直に書き出していきます。
「よく注意されること」や「つい後回しにしてしまうこと」「自分でも直したいと思っているクセ」などを思い出してみましょう。
これもあなた自身の内部環境ですが、こちらはマイナスに働く可能性のある要素です。
弱みと向き合うのは少し勇気がいるかもしれませんが、自分を客観的に把握し、今後の成長の伸びしろを見つけるための重要なステップです。
ここで大切なのは、「弱みを書いて落ち込むこと」ではなく、その弱みを理解したうえで、どう工夫できるかまでセットで考えることです。
たとえば、弱みの横に当面の対策や長期的な改善案を一言ずつメモしておくと、面接で前向きに話しやすくなります。
(例:人前で話すのが苦手、複数の作業を同時に進めるのが苦手、完璧主義なところがある)
3:機会(Opptunity)を書き出す(外部環境・プラス要因)
ここからは、視点を自分の外側、つまり社会や市場に向けていきます。
「機会」とは、あなた自身の努力だけでは直接変えることは難しいものの、世の中の動きや就活市場のトレンドの中で、あなたにとって追い風となる要素のことです。
自分を取り巻く環境に、どのようなチャンスがあるかを考えてみましょう。
ニュースや業界研究だけでなく、「大学のキャリア支援が手厚い」や「インターンシップの募集が増えている」、「オンラインで企業の話を聞けるイベントが多い」といった、身近な環境の変化も立派な機会です。
また、自分の属性やバックグラウンド(理系・文系、地方大学出身、留学経験がある/ない など)が評価されやすい場面がないかも考えてみると、機会の欄を埋めやすくなります。
(例:志望業界の市場が拡大している、DX化によりIT人材の需要が高い、オンライン選考が主流になり地方学生でもチャンスが増えた)
4:脅威(Threat)を書き出す(外部環境・マイナス要因)
最後に、あなたにとって向かい風となりうる外部の要因を書き出します。
これもあなた自身ではコントロールすることが難しい社会の変化や、他の就活生の動向などが含まれます。
どのような逆風が吹いているのか、現実を冷静に見つめてみましょう。
たとえば「人気業界で倍率が高い」「自分の大学からの採用実績が少ない」「インターン参加者が選考で有利」といった状況も、就活生にとっての脅威にあたります。
脅威を書き出すと不安が大きくなるかもしれませんが、「だからこそ早めに準備する」「別の志望業界も並行して検討する」といった具体的な行動に落とし込めれば、むしろ安心材料にもなります。
(例:志望企業の採用人数が減少している、留学経験を持つ学生が多い、AIの台頭で一部の仕事が代替される可能性)
クロスSWOT分析で就活戦略を立てよう!具体例を紹介
4つの要素を書き出して終わりではありません。
ここからは、それらを掛け合わせる「クロスSWOT分析」で、具体的なアクションプランを考えていきましょう。
紙の下のスペースに「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」と4つの枠をつくり、それぞれの組み合わせごとに「自分は何をすべきか?」という行動案を1〜3個ずつ書き出していくイメージです。
クロスSWOT分析とは、SWOT分析で洗い出した4つの要素(強み・弱み・機会・脅威)を意図的に掛け合わせることで、具体的な行動計画(戦略)を導き出すための分析手法です。
SWOT分析が、自分や自分を取り巻く環境を整理して「現状を把握する」ための作業だとすれば、クロスSWOT分析は、その結果をもとに「それでは、これから何をすべきか?」を考えるための作業とイメージするとわかりやすいでしょう。
分析して終わりにせず、未来のアクションにつなげるための重要な橋渡し役を担っています。ここで洗い出した内容は、そのままESや面接の「軸」になるので、丁寧に言語化しておくことが大切です。
強み × 機会
「強み×機会」を使うことで、就活や将来の職場で「機会」が訪れたときに、自分自身の強みをどう活かすかを考えられます。
言い換えると、自分の強みを、社会の追い風に乗せて最大限に活かす方法を考えます。これは、あなたの自己PRや志望動機の中核となる部分です。
「自分のどんな強みが、どのような社会の変化・業界のトレンドと相性が良いのか」を意識すると、「なぜこの業界なのか」「なぜこの企業なのか」を説得力を持って語れるようになります。
(例:「高いITリテラシー(強み)」×「DX人材の需要増(機会)」→ ITコンサル業界で企業の課題解決に貢献したい)
ここで書いた内容は、そのまま志望動機の「将来どのように活躍したいか」に使えるので、メモを残しておきましょう。
強み × 脅威
「強み × 脅威」を使うことで、仕事をする中で「脅威」が訪れた際に、どう自分の「強み」を活かして立ち向かうのかを挙げられます。
言い換えると、社会の向かい風に対して、自分の強みを使ってどう立ち向かうか、またはどう影響を最小限に抑えるかを考えられます。
「厳しい状況でも成果を出すために、自分ならどんな工夫ができるか?」を考えることで、逆境に強い人材であることをアピールしやすくなります。
(例:「粘り強さ(強み)」×「採用人数の減少(脅威)」→ 狭き門でも諦めず、OB訪問などを通じて熱意を伝え、他の学生との差別化を図る)
この組み合わせから出てきたエピソードは、面接でよく聞かれる「困難を乗り越えた経験」「逆境の中で工夫したこと」といった質問にも使いやすい部分です。
弱み × 機会
「弱み × 機会」を使うことで、仕事をする中で自分の「弱み」が「機会」に悪影響を及ぼさないか、あるいは、そうならないように何ができるのかを考えることができます。
言い換えると、追い風が吹いているチャンスを逃さないために、自分の弱みをどう改善・克服すべきかを考えるために活用できます。これは、あなたが今後成長できるポイントにもなり得ます。
「弱みを放置した場合に起こりうる失敗」と「それを防ぐための具体的な行動」をセットで書き出すと、成長意欲のある人材として評価されやすくなります。
(例:「人前で話すのが苦手(弱み)」×「オンライン選考の普及(機会)」→ カメラの前で話す練習を重ね、対面より緊張しにくいオンライン面接で実力を発揮できるようにする)
面接で「あなたの弱みは?」と聞かれたときには、この欄で考えた具体的な改善行動まで一緒に伝えると、「成長し続けられる人」として好印象につながります。
弱み × 脅威
「弱み × 脅威」を分析することで、企業内で「脅威」があった際に、自分の「弱み」が露呈し、足を引っ張るようなことがないかを分析できます。
そのようなことが発生しないように何ができるのかを事前に検討できます。自分の弱みと社会の向かい風が重なる、最も注意すべきところです。
このリスクをどう回避するか、または影響を受けにくい別の選択肢はないかを考えます。
場合によっては、「どうしても弱みが致命的になってしまいそうな業界は、第一志望から外す」「自分の弱みが目立ちにくい職種を複数候補に入れておく」といった“リスクヘッジ”も重要な戦略になります。
(例:「マルチタスクが苦手(弱み)」×「変化の激しい業界(脅威)」→ 専門性を深められる職種や、一つのプロジェクトに集中できる環境の企業を視野に入れる)
この欄で考えた内容は、「なぜその業界・職種をあえて選ばなかったのか」を自分の中で整理する材料にもなり、結果として納得感のあるキャリア選択につながります。
SWOT分析でよくある失敗とうまく進めるためのコツ
多くの就活生をサポートしてきた私たちだからこそわかる、SWOT分析でつまずきがちなポイントとその対策をお伝えします。
「マスは一応埋めたけれど、しっくりこない」「書いて満足してしまい、その先に活かせていない」という状態から、一歩先に進むためのヒントとして読んでみてください。
「機会」と「脅威」が思いつかないときはニュースや業界研究をする
外部環境の分析は最も難しいところです。WEBニュースサイトや新聞などで社会のトレンドを掴んだり、志望業界の動向を調べたりすることで、具体的なキーワードが見つかります。
就活サイトの業界特集ページや企業の採用サイトにある「事業内容・今後の戦略」の欄も、機会・脅威を考えるヒントの宝庫です。
ここでは、視野を広げることが大切です。
最初から志望業界に絞り込みすぎず、「人口減少」や「テクノロジーの進化」、「働き方改革」、「グローバル化」といった社会全体の変化を眺めてみると、自分に関係しそうなキーワードが見つかりやすくなります。
「強み」は具体的に「弱み」はポジティブに捉え直す
「コミュニケーション能力が高い」といった抽象的な言葉ではなく、「初対面の人ともすぐに打ち解け、相手のニーズを引き出すのが得意」のように具体的に書きましょう。
また、「頑固」という弱みは「信念が強い」という強みにもなり得ます。多角的に自分を見つめることが重要です。
企業が知りたいのは「欠点がない人」ではなく、「自分の課題を理解し、改善しようとしている人」です。弱みを隠すのではなく、その弱みがあるからこそ、どんな工夫をしているのかまでセットで言語化しておくと評価されやすくなります。
なお、強みの把握といった自己分析に「適性診断MATCH plus」を利用している就活生もいらっしゃいます。

「適性診断MATCH plus」では、今の自分を知るための自己分析と今後の自分が進んでいく方向を考えるための指針に関する情報をさまざまな角度から得ることができるため、使ってみるのもおすすめです。
診断結果をそのままESに書き写すのではなく、「なぜ自分はその傾向が強いのか」「どの経験がその結果につながっているのか」を振り返り、SWOTの各マスに翻訳していくイメージで活用すると、より“自分ごと化”された自己分析になります。
SWOT分析を含め、自己分析は一人で完璧を目指さなくていい
自分一人だけで自己分析を深めようとすると、どうしても主観的になったり、視野が狭くなったりしがちです。
「これは強みと言っていいのかな?」「こんな弱みを話したらマイナス評価になりそう……」と自分でブレーキをかけてしまい、なかなか本音が出てこないことも多いものです。
そこで私たちのような就職エージェントに壁打ち相手になってもらうのは非常に有効です。
第三者から見た率直なフィードバックをもらうことで、「自分では当たり前だと思っていたけれど、実は大きな強みだった」という発見が生まれやすくなります。
友人や先輩、OBやOGに壁打ち相手になってもらう方法もありますが、どうしても照れが出たり、それほど多くの時間を割けたりできないこともあります。お願いするときは、「このSWOTシートを一緒に見て、強みだと思うところを3つ教えてほしい」など、具体的に依頼すると、お互いに話しやすくなります。
その点、私たち「マイナビ新卒紹介」のような就職エージェントは気軽に話しやすいかもしれません。無料で何度でも利用できるところがおすすめポイント。面談の場では、あなたが作成したSWOT分析シートを一緒に確認しながら、「ここはもっと具体的なエピソードにできそう」「この強みは別の業界でも活かせるのでは」といった形で、企業目線のアドバイスもお伝えしていきます。
マイナビ新卒紹介は、これまで数多くの就活生を見てきました。だからこそ、企業の採用情報を熟知しています。
大学のキャリアセンターが知っている面接対策の情報は、どうしても一般的な内容になることもあります。
その点、私たち「マイナビ新卒紹介」なら、企業ごと、あるいは、その年ごとの最新の面接傾向も掴んで共有できます。
1社ごとにマイナビ新卒紹介の担当者がいるため、担当者を通して企業の採用基準や選考で重視されるポイントなど、採用担当者目線の情報を把握しています。これにより、「この企業は論理性を重視しているので、SWOTのこの部分を強調して話しましょう」「この業界では、こういう強みが特に評価されやすいです」といった具体的なアドバイスが可能です。
少しでも興味のある方は、「マイナビ新卒紹介」の無料オンライン面談をお申し込みください。
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SWOT分析で自己分析を深めて内定を取ろう
今回は、SWOT分析を活用して、自己分析を戦略的に進める方法についてお伝えしました。
SWOT分析の最大のメリットは、「自分」と「社会」という2つの視点から自分を客観視し、何をすべきかという具体的なアクションプランに落とし込めるところです。
このSWOT分析を通して見えてきたものは、あなたの就活における羅針盤となるはずです。ぜひ、あなただけの作戦地図を完成させ、自信を持って選考に臨んでください。
とはいえ、「SWOT分析をやってみたけど、このやり方で合っているか不安…」「分析結果を、どうやって魅力的な自己PRにすればいいかわからない」という方もいるでしょう。
そんなときは、ぜひ私たちマイナビ新卒紹介までご相談ください。
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