就職活動において、エントリーシートは自己PRの重要な場面です。特に趣味や特技は、あなたの個性や人柄をアピールする絶好の機会となります。しかし、どのように書けば採用担当者の目に留まり、好印象を与えることができるか悩んでいる方も多いでしょう。
この記事では、エントリーシートで好印象を与える趣味・特技の書き方について具体的な例文を交えて解説します。
なぜエントリーシートの趣味・特技欄を書くのか?
面接官にあなたのパーソナリティや個性を知ってもらうためです。採用担当者がエントリーシートの趣味・特技の欄を見るには複数の理由があります。
1.学生の人柄や性格を知るため
趣味や特技は、その人の興味関心を示すものであり、仕事以外の時間に何をしているかを知ることで、その人がどんな人間であるかを理解しやすくなります。
2.面接での会話のきっかけ
採用担当者は、面接時にリラックスした雰囲気を作り出し、学生が緊張せずに自分を表現できるようにするために、趣味や特技について話題を出すことがあります。これにより、学生のコミュニケーション能力や、自分の考えを整理して伝える力を評価します。
3.人柄や個性をアピールするため
自分の人柄や個性を効果的にアピールすることができます。例えば、読書好きな人は知識欲が旺盛で、自己成長を追求する姿勢を示せます。映画鑑賞が趣味であれば、様々な視点から物事を捉え、創造性を持っていることをアピールできます。
4.仕事に対する適性の判断材料にする
趣味・特技で最も重視されている点がここです。
例えば、スポーツ経験からはチームワークやリーダーシップを読み取れます。そのため、「この学生は組織でうまく機能するだろう」と高く評価される可能性があるのです。趣味や特技は、一見関係ないように思えるかもしれませんが、採用担当者にとっては、その人の総合的な能力や資質を判断するための重要な手段です。
採用担当者はココを見ている!趣味・特技から「ビジネススキル」を読み解く
上記の「4.仕事に対する適性の判断材料にする」でお伝えした通り、採用担当者は学生の趣味・特技から「ビジネスで再現できる強み=ポータブルスキル」を見つけ出そうとしています。
「この学生は、目標に向かってコツコツ努力できる人材か?」「チームの中で、周りと協力して物事を進められるか?」といった視点で、学生のポテンシャルを評価しています。
つまり、自分の趣味・特技がどのようなビジネススキルに結びつくのかを理解し、それを意識してアピールすることが、他の学生と差をつける鍵となります。
趣味からアピールできるビジネススキル具体例
ここでは、代表的な趣味が具体的にどのようなスキル評価に繋がりやすいのかを解説します。
このように、自分にとっては当たり前の趣味でも、採用担当者の視点を通すことで、立派なビジネススキルとしてアピールできます。自分の趣味や特技はどんな強みに変換できるか、一度考えてみましょう。
筋トレ・ランニング :【目標設定力・継続力・自己管理能力】
「ベンチプレス●●kgをあげる」「フルマラソンを完走する」といった明確な目標を設定し、その達成のために地道なトレーニングを継続できる力は、ビジネスにおける「目標達成能力」や「自己管理能力」として高く評価されます。日々の進捗を管理し、計画通りに粘り強く取り組む姿勢は、どんな仕事にも通じる強みです。
チームスポーツ(サッカーやバスケなど):【協調性・リーダーシップ・目標達成意欲】
チームでの勝利という共通目標に向かって、仲間と連携し、時には意見をぶつけ合いながら自分の役割を全うする経験は、「協調性」のとても分かりやすい証明です。キャプテンやポジションリーダーの経験があれば「リーダーシップ」を、レギュラー争いなどの経験は「競争心」や「目標達成意欲」をアピールできます。
またサブリーダーだった場合にはチームでの「潤滑油」や「調整役」などので経験や、具体的な役職が無い場合にも「分析・課題発見・提案」や「ムードメーカー」などチームスポーツの経験があるからこそアピールを伝えていくことができます。
創作活動(ブログ、イラスト、動画編集など):【企画力・情報発信力・分析力】
「どんなテーマが読者(視聴者)に響くか」を考え、コンテンツを企画し、実際に形にして発信するプロセスは、マーケティングの基本そのものです。アクセス数やフォロワー数の分析、改善を繰り返した経験は、ビジネスに不可欠な「企画力」や「分析力」としてアピールできるでしょう。
特にビジネスは相手がいることで成り立つため、相手をどのように想像して、形にしたかという点はビジネスでも汎用性があると考え評価につながりやすいです。
料理 :【計画性・段取り力・探求心】
限られた時間と予算の中で、複数の料理を完成させるためには、効率的な手順を考える「段取り力」と「計画性」が必要です。更に、より美味しく作るためにレシピを研究したり、時短を突き詰めた料理に挑戦したりする姿勢は、常に改善を求める「探求心」や「向上心」として評価されます。
読書 :【情報収集能力・知識欲・論理的思考力】
単に「読書が好き」で終わらせず、「月〇冊読む」「〇〇という分野の知識を深めるために読んでいる」と伝えられれば、主体的な「情報収集能力」や旺盛な「知識欲」を示せます。
また最近読んだ本の中で印象的だったことなどをピックアップして、自分の意見を述べたりできれば、具体的な話で「論理的思考力」のアピールにも繋がります。
趣味・特技がない場合の見つけ方
「趣味や特技と呼べるような立派なものはない…」と悩む必要はありません!採用担当者は、全国大会レベルのすごい経歴を求めているわけではありません。人柄やポテンシャルが伝わるヒントは、普段の生活の中に隠されています。
ここでは、自分らしいアピールポイントを見つけるための4つの視点をご紹介します。
自分の「好き」や「楽しい」を振り返る
まず、あなたが心から「楽しい」「好きだ」と感じる瞬間を思い出してみてください。「新しいカフェを開拓するのが好き」「好きなアーティストのライブに行くのが楽しい」といった、些細なことでも構いません。なぜそれに惹かれるのか、どんな部分に楽しさを感じるのかを少し深掘りするだけで、自分自身の価値観や行動特性が見えてきます。
日常生活で「多くの時間を費やしていること」を考える
意識していなくても、毎日当たり前のように続けていることは、立派な「特技」と言えます。例えば、「毎日1時間かけて自炊している」なら計画性や自己管理能力を、「SNSで情報収集するのが日課」なら情報感度の高さやトレンドを追う力をアピールできます。具体的な的な方法としては、スマートフォンのスクリーンタイム(iPhone)/Digital Wellbeing(android)を見て、自分が何に時間を使っているか客観的に分析してみるのも一つの手です。
「過去に夢中になったこと」を思い出す
今、現在続けている必要はありません。趣味・特技を思い出すきっかけとして、小中高時代に熱中した部活動、文化祭の準備、アルバイトでの経験などを振り返ってみましょう。「文化祭のクラスの出し物の企画運営」の経験は企画力やマネージメント力に、「部活で役職はなかったが後輩の指導や相談に乗っていた」経験は育成力やリーダーシップのアピールに繋がります。忘れていた強みが見つかるかもしれません。
周囲の人に「自分の強み」を聞いてみる
自分自身では「当たり前」だと思っている長所も、他人から見れば立派な個性や特技の場合があります。家族、友人、バイト先の人に「私の得意なことって何だと思う?」と気軽に聞いてみましょう。「いつも聞き上手だよね」「調べ物を頼むとすごく的確で早い」「旅行の計画立てるの得意だよね」など、客観的な視点から、自分では気づかなかった強みや思わぬアピールポイントを発見できることがあります。
趣味・特技の書き方のポイント
趣味・特技を書く際は、自分の個性や特徴をしっかりとアピールすることが重要です。ただ趣味・特技を記載するのではなく、PRするつもりで書くことで採用担当者にアピールすることができます。
理由と具体的なエピソードを記載する
趣味や特技を記載する際には、ただ単に『読書』や『料理』などと書くだけでは不十分です。採用担当者に対して、なぜその趣味や特技を持つようになったのか、その背景や理由を具体的なエピソードとともに説明することで、採用担当者の深い理解を得られます。
例えば、『読書』の趣味を記載する場合、
『小さい頃から父親と一緒に図書館に行く習慣がありました。その影響で自然と読書が好きになり、様々なジャンルに興味を持つようになりました。最近では経営に関する書籍を読むことが多く、現実のビジネスに役立てたいと考えています』
といった具合に、個人の体験(原体験)を交えて説明することが重要です。具体的なエピソードを記載することで、採用担当者に対して自分の人柄や興味の深さを伝えることができ、好印象を与えることができます。
仕事への活用方法を示す
趣味や特技をエントリーシートに書く際には、それがどのように仕事に役立つかを示すことも大切です。採用担当者は、書類選考を通して候補者がどのように会社で貢献できるかを見極めたいと考えています。
例えば、趣味が『プログラミング』であれば、『プログラミングを通じて問題解決能力や論理的思考を養うことができました。このスキルは、御社のソフトウェア開発において貢献できると確信しています』と記載することが有効です。
また、『スポーツ観戦』が趣味であれば、『スポーツ観戦を通じてチームワークの重要性を学びました。この経験を活かして、御社のチームプロジェクトに貢献したいと考えています』と書くことができます。趣味や特技が仕事にどう活かされるかを示すことで、自分のアピールポイントを明確にし、採用担当者に対して自己の適性をアピールすることができます。
趣味・特技を記載する際のフォーマット
重要なのは、一言と説明文をセットにして記載することです。これにより、採用担当者が読みやすく理解しやすい書類を作成することができます。
(例)料理
毎日自炊をすることが趣味です。一人暮らしを始めてから料理をするようになり、日々新しい料理を作るために料理サイトなどで情報収集をしております。帰省した際に家族に料理を振る舞い「美味しい」という言葉を貰ったときは、とても嬉しかったです。
以上のようにまず【趣味・特技】を一言で伝えた後に、なぜ始めたのかなどの【きっかけ】を説明し最後に実際に【何をしているのか】を書くことで文章がまとまります。
面接で趣味・特技について深掘りされた場合はどうするのか?
面接の中で趣味・特技についての深掘りをされる場合もあります。ここでは、人柄や性格や仕事への適性の確認だけでなく問題なくコミュニケーションを取ることができるかを確かめられます。
どんな質問をされるのか
・何年続けているのか?
1つの物事に対する継続力やストレス耐性についてみられることがあります。継続力については、続けている期間やもしやめていた場合は、なぜやめたのかなどを聞かれる可能性があるため、事前に振り返りましょう。ストレス耐性については、1つの物事を続けていく中で嫌なことや壁に当たった経験をどのように解決したのかを確認されることがあります。
・何が面白い/楽しいのか?
会話のキャッチボールができるかどうかをみられることがあります。受け答えのスムーズさや論理性を確認されるので言語化できるように過去の経験を振り返りましょう。
・チームでの役割は?(趣味・特技が、チームで何かする場合)
チームで働く力(協調性)をみられることがあります。チームでの役割を質問を通して、協調性やリーダーシップが見られる可能性があるため、自分の役割や工夫して行動していることや大変だったことなどを振り返り言語化しましょう。
まとめ
この記事では、エントリーシートの趣味・特技欄で採用担当者に好印象を与えるための書き方を、具体的な例文と共に解説してきました。
多くの就活生が悩むこの項目は、決して単なるおまけではありません。あなたの個性やポテンシャルを伝えるための、絶好の自己PRの機会なのです。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- ① 採用担当者の視点を理解する:見られているのは「ビジネススキル」
採用担当者は、あなたの趣味・特技から「目標設定力」「協調性」「計画性」といった、仕事で活かせるポータブルスキルを読み取ろうとしています。自分の経験がどんな強みに繋がるかを意識することが、最初のステップです。 - ② 具体的なエピソードで「あなたらしさ」を語る
「読書」「料理」と書くだけでなく、「なぜ好きなのか(きっかけ)」「どんな工夫をしているか(具体例)」「何を得たか(学び)」といった具体的なエピソードを添えましょう。自分だけの実体験が、文章に説得力と魅力になります。 - ③ 面接での深掘り質問まで準備する
なぜその趣味を続けているのか、何が面白いのか、チームでの役割は何か、といった深掘り質問を想定し、自分の言葉で語れるように準備しておくことで、自信を持って面接に臨めます。
エントリーシートの趣味・特技欄は、あなたという人間を伝えるための大切な場所です。この記事で紹介したポイントと例文を参考に、ぜひあなただけの魅力的な自己PRを完成させてください。