ガクチカとは?自己PRとの違いとガクチカを書く上での重要なポイント
ガクチカとは?就活における重要性
「学生時に力を入れたこと」、「学生時代に打ち込んだこと」こういう面接官からの質問や応募書類の設問をいつのころからか”ガクチカ”と呼ぶようになり、自己PR、志望動機と並んで就職活動の準備期間にまとめておくべきこととしてのイメージがすっかり定着しています。
実際に74.5%(※注1)の方が面接時によく聞かれた質問として”学生時代に打ち込んだこと”をあげています。
「特別なことはやってないなあ」「結果といえるような結果が出るようなことはやってこなかった」とアピールするための材料の抽出に悩む方も実際多くいらっしゃいますが、自分自身のガクチカの紐解き方ひとつでその先に行き詰まってしまったり、逆にモヤが晴れたかのようにすっきりと整理することができます。
エントリーシート作成や面接に備えて、また学生生活を棚卸しするためにもしっかりと向き合うことをおすすめします。
ガクチカの定義と意味 (自己PRとの違い)
ガクチカと自己PRの違いは?同じじゃだめなんですか?と思いネットで検索すると色んなことが書いてあり、ますます混乱してしまいますよね。
「ガクチカは〇〇だ!」、「自己PRは〇〇だ!」と聞く相手によりその定義は異なります。
つまりは社会通念上の定義はないとも言えます。
例えばエントリーシートの記入欄がガクチカと自己PRが別々に設けられている場合は、明確に各々で聞きたいことが異なります。
1つしかない場合は自己PRを学生時に行ったことを踏まえ精一杯アピールしましょう。
ガクチカと自己PRを明確に分けて考える必要がある場合は以下の様に分けることができます。
ガクチカと自己PRの違い
ガクチカ
過程や経験をもとにしたエピソード
自己PR
強みや能力などの長所
定義が無い=正解がないことには相手(企業)により柔軟に対応できるように準備をしましょう。
なぜガクチカが求められるのか
企業としては率直にその学生が学校生活で何をしていたのかを知りたい、またその学生の価値観や性格、能力などが自社が求める人物像に合致するのかのヒントを得たいが為の質問の一つです。
重要視する項目は当然企業により異なりますが、一つの質問で複数の要素を確認できる効率性から多用される傾向にあるようです。
学生時代に力を入れたこととは
2025年卒 大学生 活動実態調査より、“ガクチカでどのようなポイントをアピールできそうか”(※注2)の項目によると、理系の第1位は学業・研究活動・ゼミ活動について67.7%、次にアルバイト経験について51.5%、3番目にサークル活動について24.2%です。
対して文系の1位はアルバイト経験について60.2%、学業・研究活動・ゼミ活動について52.5%、サークル活動について22.6%でした。
また理系1位の学業・研究活動・ゼミ活動については大学院生と学部生において大きな違いが見られます。
大学院生は80.8%、学部生53.4%となっており、3年生3月時点においてはまだ学部生が研究室に所属する前にあたる場合が多いことがこの差の要因となっていると考えられます。
ガクチカに適したテーマの選び方
ガクチカに適したテーマの選び方ですが、特定のジャンルが評価されるわけではありません。入学してから約3年間で力を入れたと思ってもらえるテーマを選択しましょう。
稀に1日だけのものや1週間だけなど継続性や持続性を見出し難いテーマを選択される方もいらっしゃいますが大学生活という長い時間の中で問われていることは考慮すべきでしょう。
ガクチカに必要な経験とは
先述しましたがガクチカではエピソードで過程や経験を伝えます。当然ですがなぜやったのかという目的と何が得られたのかという結果がその過程をより意味のあるものにします。
ご注意いただきたいのは、より重要なことは結果や成果ではなく過程であること。
さらにその過程により再現性を面接官にイメージしてもらえるように伝えることが大切です。
この再現性とは入社後の会社生活におけるものです。
例えば合唱コンクールで金賞を受賞した、という結果は素晴らしいです。
でも入社後に会社の業務で合唱コンクールはありません。
理系の場合も入社後に研究内容に直結する業務に携わる人ばかりではありません。むしろそれは少数派であると言われています。つまりは何を研究したかではありません。
再現性をイメージする。その為に仕事を知る。仕事を知っているということは仕事に興味を持っている、と言えるのではないでしょうか。
「御社の〇〇の仕事に興味があります」と言ったところで、知らなければ、知る努力が足りていなければ面接官の心象は良いものではないでしょう。
ガクチカのエピソードの具体例
今回、具体例として記したテーマや内容は特別な実績や経験がなくて困っているという方へ向けたものになります。
具体的な例文にすると…
飲食店の接客アルバイトに3年間従事しています。どうせやるなら私がこの職場に存在する意義を見つけたいと思い、お客様にそして店や同僚に認められ必要にされる存在になれるように向上心を持って日々働きました。特に意識したことは繁忙期における対応です。
お客様に「混んでいるからしょうがない」と思わせるのは私を含めた店側の責任であり接客スタッフの私としても情けない状況ですので忙しい時にこそ平時と変わらぬ良いサービスを提供できるように全力で頭と体をフル回転させました。また繁忙期は同僚のアルバイトも勤務を避けがちであるため、率先して入り、私が頑張ることで皆で乗り越えようという雰囲気作りを行うとともにクレーム対応など皆ができれば避けたい仕事にも一歩前に出る勇気と覚悟を持って取り組みました。
想い、勇気、行動、継続。単純ですがこの4つを頑張ったことで得られた周囲からの信頼は私の自信へと繋がっています。社会人になってからはこれらに知識やセンスなどさらに必要な要素は出てくると思いますが、懸命に取り入れ成長することにより、必要な存在になりたいと思っています。(463文字)
「実績や数字を入れた方がいいよ」「120%達成など売り上げを意識しているところを記すべき」というようなアドバイスをされる諸先輩方もいらっしゃいます。決して間違っているわけではありません。また実際に店長のように売上や数字を意識した業務をされていた方はアピールすべきです。ただ実際は大半の学生さんにとってアルバイトはビジネスの位置付けではなく、雇う側としても普通のアルバイトにそれを求めるのはどうかと思います。(相応の対価を支払うのであれば別ですが)
背伸びして実態と乖離したエピソードを求めているわけではありません。繰り返しますが求められていることは高度なスキルや優秀な実績ではありません。
今回の例文は敢えて心の持ち様(想い、勇気、行動、継続)に焦点を当ててガクチカを作成しました。社会に出ても再現できそう=再現性につながります。